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「証を頂戴」
「…あ?」
「お前のものだって言う証を、ここに生きてる証をくれよ」

俺はテメーの為に存在してるんだ、って証を。
不安になんだよ、時々。
このまま何も両手に残らない状態で、寂しく死んで行くんじゃないかって。

「繋ぎとめてくれよ、縛ってくれ、俺を。お前と言う名の鎖で」
「…どうしたんだ?いつものテメーらしくねえ」
「お前無しじゃ、もう生きられねーから。だから証が欲しいんだ」

いつから俺はこんなに弱くなった?
コイツに…土方に逢ってからか?
……嗚呼、コイツはきっと糖分と同じなんだ。
一度求めたら、麻薬の如く止められなくなる。


「テメーはもう俺のモンだろうが、銀時」
「それでも、証が欲しい」
「……生憎俺もテメー無しじゃ生きられねェ質になっちまってな。…証なら、これで十分だろ」

「……痛ッ」


途端身体中を走る鈍痛。
見れば左腕に綺麗な刀傷が一筋、そこから見事な紅い鮮血が溢れ出ていた。
土方も己の同じ部分に、傷を付ける。


「これでいいだろ。消えそうになったら、また付けりゃあいい。ただし今度はテメーが俺の分を付けろ。傷付け合える間は、 俺らは互いのモンだ。…尤も、俺はテメーを傷付けるのを止めるつもりはねーけどな」


知ってた、お前はいつでも俺の望む通りにしてくれること。
だから、俺はお前から離れられねえんだ。
まるで麻薬のように。
…俺も、お前を傷付けるのを止めねーよ。
お前が証をくれるんだったら、俺はいつまでもお前と生きていけるから。


両手に、お前の存在さえ残れば、俺ァそれでいいんだ



(精神的に不安定な銀時と、証を与える土方)
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