さ よ な ら の 仕 方 | back | next | index |
幾度夜を共に過ごそうとも、一度夜が明けてしまえばまたそれぞれの生活に戻っていく。 それが銀時と土方、二人が結ばれてから送ってきた日々だった。 「俺、そろそろ行くわ。これから仕事あるしな」 「へえ、珍しい事もあるモンだな。お前が仕事持つなんてよ」 「バッ、何言ってんだよ!俺はいつでも忙しいの!いつでも仕事がいーっぱい入ってんの!」 「ハイハイ」 昨晩は久方振りに真選組屯所に足を踏み入れた銀時。 万事屋か外で会うのが日常となってしまった為に、土方に誘われた時には、本気でみっちりと 取調べをされるのではないかと恐れたが、幸いそれは実現する事はなかった。 しかしほっと息を吐く暇も与えられず、土方の部屋に入るや否や、近くに隊士達の気配を 感じる中で、銀時は土方に押し倒されてしまう。 土方は全く気にしていない様子だったが、銀時は自身の甲高い声が彼らに筒抜けてしまっては いないだろうかと、行為の最中もただただ祈るばかりだった。 「それにしてもよォ、お前、盛んのもいいけど、時と場所を考えてくんない?マジで外に声が 洩れるんじゃねーかと、ヒヤヒヤしたじゃねえか!」 「たまにはいいだろ?スリルがあってよ。それに聞きたい奴には、聞かせてやりゃあいいんだよ」 「ばっ、か!いいわきゃねーだろ!そんなスリルも欲しくねェ!!」 大声で叫んでしまった所為で、刹那、ツキリと腰に痛みが走る。 つい先刻まで土方によって、何度も、激しく揺さぶられたからだ。 そう思うと、途端、昨晩の情事が頭の中で鮮明に甦り、銀時は赤面するのだった。 「と、とにかく!俺は行くかんな!」 「おう」 屯所の入り口にて、煙草の白煙が朝霧の空に溶けていく。 二人は名残惜しそうに互いの手を離すと、再び相手の瞳を捕らえた。 「じゃあな」 「ああ、……またな」 それは、彼らなりの、別れの挨拶だった。 近い未来、また出会う為の、短な契り。 再び繋がり合えるのだと言う、確かな言葉を。 紅く燃ゆる目覚めたばかりの太陽を背に、二人は別々の道へと、歩み始めた。 (その言葉は、「別れ」ではなくて、「始まり」) (土銀) |
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