鈴虫の音




パタン。
夕暮れどき、襖の閉まる音で銀時はソファから起き上がる。
読み耽っていたジャンプをテーブルの上に放り投げると、ふわりと優しい笑みを浮かべた。

「不法侵入者はっけーん」

銀時がそう言葉を投げかければ、男はフ、と口元を上げ、銀時の元へと歩みを進める。
銀時はただ座ったまま、男が己に近づくのを待った。

「相変わらず腑抜けたツラしてるなァ、銀時ィ」
「オメーが凶暴すぎんだよ、高杉」

正面から覆い被さるようにして高杉は銀時を懐へと抱きしめた。
銀時はそれに応えるかの如く、高杉の背中へと腕を回す。
互いの温もり、鼓動を直接肌で感じるだけで、心が満たされていく気がした。

「全く、お前も毎年素直じゃないねえ。俺に祝って欲しいのなら正直に口に出せばいいのに」
「ハ、誰がテメーに祝って欲しいなんて言った?冗談も程ほどにしろ」
「はいはい、分かりましたよ、っと。高杉さまの言うとおりですねー……っん、う!」

刹那、高杉は噛み付くように銀時にキスをした。
…本当に素直じゃねーなあ。
口内を犯されつつも、毎年自身の誕生日になると万事屋を訪れる高杉に今年は何をプレゼントしようと、銀時は密かに思いを巡らせていた。



(毎年8/10になると万事屋を訪れて銀時に誕生日を祝って貰いたいと願う高杉と、そんな高杉をいとおしく思う銀時。)
(高銀/Happy Birthday to 高杉!!)
 
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