籠の鳥




※パラレル設定の高杉×銀時です。


○設定○(幼少時、吉田松陽の元にいた事実は一緒です)

*銀時は高杉率いる鬼兵隊の一員。(万事屋は開業していません)

*真選組とは敵同士。

*高杉→銀時の独占欲が強く、高杉は銀時に異様に執着している。
 (要は銀時の事が好きでたまらない状態です)

*銀時→高杉はドライな感じ。友人(悪友)程度にしか現時点では見れていません。

*高杉は銀時には何でも買い与えてます。自分好みに銀時の服とかを揃えるのが好き。高杉が着ている女物のような和服を着せてます。

*銀時はある時、高杉に内緒で江戸の町へ出かけます。その時土方と出会いますが、お互い素性は明かしてません。なので敵同士と言うことも知りません。

*以降、回数は多くないですが高杉の目を盗んでは土方と密会してます。ただ高杉はその事に気づいてます。

*結論的には『土方→←銀時←高杉』になります。
 (※今回土方は登場していません。)

(*いずれは連載なんて、したいなあ、と…ぼそり。)

以上、妄想率100%なパラレルですが、それでも大丈夫な勇者様のみどうぞ…!








「なあ、またあの男の所へ行ったのか」


ソファに座る銀時を後ろから優しく抱きしめ、高杉は妖しくそう問うた。
高杉好みの紅い花柄の着物を身に纏った銀時は、男の言葉に反応し微かに肩を震わせた。

「…なんのことだ?」
「クク、とぼけんなよ。俺は全てお見通しだぜ?」

肌蹴た着物の隙間から覗く白い項に、キスを落とす。
少し強く吸い上げれば、真っ赤に咲いた花弁のように鮮やかな後が残った。
くすぐったいのか、銀時は身を捩るとその瞳を固く閉じる。

「あの男…土方、とか言ったか。お前にしちゃあ随分と執着してるじゃねェか」

びくり。
銀時は目を勢いよく見開き、今度こそ他人が見て取れるほど激しく動揺した。
それは間違いなく、高杉が彼の知るはずのない一人の男の名を口にしたからだった。
…どこでバレたのだろう。
銀時は己の頭から血の気が一気に引いて行くのを感じる。
同時に全身より嫌な汗が一斉に吹き出し、じっとりと着物に纏わり付く気持ち悪さに吐き気さえ催した。

時折銀時が高杉の目を盗みこの船を抜け出して会いに行く男、それが土方だ。
土方と銀時の関係は友人とも恋人とも取れず何とも説明し難いものだが、銀時に異様な執着をみせる高杉にとっては、銀時に近づく人間は全て排除すべき肉塊だった。

高杉は銀時に近寄るもの全てを斬り捨てる。
切り刻む度に噴き出す血飛沫を幾度となく見てきた銀時だが、高杉とは対照的に、銀時は特定のものに対し特別な感情を抱いては来なかった。
それ故に、己のせいで幾重もの血が流れようと、銀時には関係のない事だったのだ。

だが今はどうだろう。
『土方』の名が高杉の口から吐き出されただけで、銀時はどうしようもなく不安になり心が押し潰されそうになる。
高杉の事だ、もう男の容姿はおろか、その所在も掴んでいるのだろう。
いつ男の首を落としに行くのだろうか。
思考を巡らせているうちに、眩暈さえも銀時を襲う。
と、ここで意外な言葉で長い沈黙を破ったのは高杉だった。


「安心しろ、男の首を取ろうとか思っちゃいねえよ」
「…え?」

刹那高杉が紡いだ言葉に、銀時は耳を疑った。
本当にあの高杉の発言なのだろうか、振り返り、高杉の顔を覗き込む。
すると高杉は面白そうにくつり、と笑った。

「だってお前は俺のモンだろ?だったらその『土方』を殺る意味なんてどこにある?」
「……高杉」

銀時が見た高杉の瞳は、自信で満ち溢れていた。
今一度銀時の首筋に顔を埋めると、己の所有物の印を残す。
銀時はこそばゆさを感じ、再びぎゅっと目を瞑った。


「どこへも行かせやしねえ。お前は俺の為だけに啼いてりゃあいい」


高杉が紡いだ言葉は、鎖の如く重く銀時の心に絡みつく。
自分に待っているのはこの男との未来だけなのだと悟ると、銀時は静かに瞳を閉じ、土方への想いを心の奥底へと沈めた。



(お前があの男を想うと言うのなら、その翼を千切って永遠にここから出れねェようにするまでだ)
(籠の鳥/高銀)
 
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