誰かに呼ばれた訳でもないのに、廊下を走る少年が一人。
まだ幼さの残るその顔に不安を浮かべながら、両手にしっかりと袋を抱えている。
僕 ら の 日 々
「まだ、いるかな」 急がないと!と、焦る気持ちとは裏腹に走る速度は上がるどころか、落ちている。 もっとも運動神経はあまりよくない方なので仕方がないことなのだが。 気持ちが先走りした所為なのか、足がもつれて転んでしまった。 ドサッという音と共に。 「イテテっ.....」 抱えていた袋は前に投げ出されてしまい、慌てて拾おうとすると、目の前に手が差し出された。 「全く、君はどうしてここへ来るのに転ぶ必要があるの?」 それは少々呆れ顔をした雲雀だった。 「ごめんなさい...雲雀さん。」 「別に僕は怒ってないよ。ただ呆れてるだけ。」 「うぅ...」 雲雀の手を借り起き上がった綱吉は、先程自分が落とした袋を拾い大事そうにまた抱えた。 彼、綱吉が急いで来た場所は、風紀委員の活動場所である応接室。 終礼の後、宿題をしていなかったので注意を受けていて来るのが遅れてしまったのだ。 と、言っても別に雲雀と約束をしていた訳でもない。が、今日は特別なのだ。 2月14日 雲雀と綱吉が付き合い始めて最初のイベント。 この特別な日に綱吉は雲雀にどうしても渡したい物があった。 ソファに座り優雅に紅茶を飲んでる、雲雀に恐る恐る声をかける。 「あ、あの。ひ、雲雀さん....えっと....。」 袋を抱える両手に力が入る。 雲雀は綱吉の方に向き、次の言葉を待っている。 「あ、あの。これど、どうぞ!」 ぐいっと差し出された袋をそっと受け取る。 「で、他に言うことは?」 「え?他にって...」 綱吉の目が丸くなる。これ以上なにを言えばいいのか分からず、言葉につまる。 ふぅっと溜息をつき、綱吉の前に立つ。 「今日は、何の日?」 「バレンタイン、です。」 「だから?」 「........」 「ほら、言うことあるでしょ?」 自分を真っ直ぐ見つめてくる雲雀に視線を泳がせながらも、綱吉は考えた。 何を言えばいいのか。おかしなこと言って雲雀さんの機嫌を損ねるのは嫌だ。何も言わないとさらに機嫌悪くなりそうで.... とりあえず、何か言おうと口を開けた瞬間、 「そういえば、僕まだ綱吉の口から『好き』って言葉を聞いてないんだけど。」 目の前にいる彼は綱吉の口からただ『好き』という言葉が聞きたかっただけなのだ。 少しの勇気を振り絞り、再び口を開いた。 「お、俺、雲雀さんが好き、です。」 雲雀の手が上がったように見えたので、綱吉はギュッと目を瞑ってしまった。 しかし、待っても刺激は与えられず....と思ったその時。 頭に軽い感触を感じた。 目を開けると優しく笑う雲雀の顔が映る。 2人でいるときにしか見せない、あの笑顔を。 ポンッと頭に触れられ、そのまま撫でられながら、 「よくできました。」 と、満足そうに言う雲雀。 綱吉もつられてくしゃっと笑顔になった。 >相互リンク記念に小夜さんより頂きましたv 小夜さんのヒバツナ!嬉しいです〜vv有難うございます! おおお思い切ってお願いして良かった…!(おま…!) しかもヒバツナ、バレンタインですよーっ! ヒバリの為に急いで応接室へ向かうツナと、そしてツナの頭を優しく撫でるヒバリが もう可愛くて可愛くてっ…!!(大興奮) 小夜さん、大好きですっ…! 私からのお礼があんな沖銀で申し訳ないです…(しょぼん) こんな奴ですが、これからもどうぞ宜しくお願いします〜vv |